会社員として勤務中に会社を設立することは可能か
現在は会社員として勤務しながら、独立開業に向けて法人の設立準備を進めるということがあると思います。
法律上は問題なし
どこかの会社で勤務中に、自分で法人を設立して、その代表取締役に就任したとしても、法律上はまったく問題ありません。
勤務中の会社の就業規則に注意
現在勤務している会社の就業規則が問題になってきます。
就業規則で副業を禁じている場合、その会社の在職中に自分で会社を設立して、事業を行い収入を得ると、就業規則違反となり最悪解雇の理由になります。
ただ、勤務している会社に退職する旨を伝えている状況で、退職してからすぐに開業して事業が始められるように、自分の会社を設立して準備しておくのは実際よく行われていますし、同時に両方の会社の業務を行っているわけではありませんから、就業規則上も特段問題にならない場合が多いかと思います。
退職後の競業避止義務について
就業規則によっては、退職後1~2年間くらいの間、同業他社に就職したり、自分で会社を作って同業を営むことを禁止している場合があります。これを「競業避止義務」といい、違反すると損害賠償請求を受けることもあり得ます。
しかしながら、憲法に保障されている「職業選択の自由」との兼ね合いで、競業避止義務は無制限には認められません。
過去にも多くの裁判例がありますが、競合避止義務が有効とされるには、少なくとも以下のような要件が必要とされているようです。
①就業規則に記載があること
②年数または地域を限定していること
③機密保持手当や退職金の増額等の代償措置(従業員側が受ける不利益に対する対価)が支払われていること
就業規則に競業避止義務の規定があったとしても、個別的に判断した結果、無効となる場合もあります。判断が難しい場合には、社会保険労務士や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。当事務所でも専門家のご紹介をいたします。
専任の取引主任者について
宅地建物取引業を行う事務所には、5名に1名以上の割合で、専任の取引主任者が必要です。
ご自身が取引主任者で開業しようとする場合、他の職業に従事していたのでは「専任の」取引主任者として認められず、宅建業免許を取得することができません。
つまり、別の会社に勤務したままでは、会社を設立することはできますが、不動産業を始めることはできませんので、ご自身が開業したい時期に合わせて退職する必要があるでしょう。